live house live

ここで一端、バンドメンバーは退場し、おおはた雄一との弾き語りコーナーの突入。 ステージ中央に用意されたイスに座った永積は、「みなさん、ようこそ。NHKホール2日目です。昨夜は大変盛り上がりまして、最後はみんなで庄屋まで行きました(笑)。今日も庄屋を目指しましょう」と語った。すると、客席からは「タカシ、ウィスキー歌って」の声がかかり、「どんだけ自由なんだ(笑)」と苦笑しながらも1フレーズだけ披露。「夏になると葉山にできる海の家に行くのが好きで。その海の家に集まる友だちに向けて作った曲です」というMCのあとで、ランタンのような明りのなか、ふたりだけで「hi tie lo tide」を歌った。「きみはぼくのともだち」をひとりで歌い出そうすると観客が座り始め、一度、イントロだけで演奏をやめ、お客さんが座るのを待った。「PEOPLE GET READY」を含む3曲には旅情感が漂っており、後方の幕に映された、たったひとりの大きな影を見ながら聴くと、かつて騒ぎあった仲間が旅立っていき、ひとり残されて青春時代を振り返っているような錯覚に陥り、思わず涙を誘われてしまった。

バンドが戻り、ウッドベースとブラシで演奏された「Spark」もまた、ゆっくりと身体のいちばん深い部分に染み込んでくるようなドラマと共感性を携えていた。その余韻に浸って物思いにふけるお客さんに、永積が「どうしたんですか? みなさんの前にこたつが見えますよ。そのコタツをポーンとしますからね」と呼びかけ、怒涛の後半戦に突入。  エレキギターのリフと会場のクラップからスタートした「ごっつあんです」では重く鳴り響くドラムがパープル&グリーンの妖し気なムードを引き連れ、キーボードとのソロ対決でスキャットが飛び出した「オハナレゲエ」では最後方の幕がおり、外からの心地よい風が吹き込んだ。永積のブルージーなギターソロをみせた「あいまいにあまい愛のままに」では、お客さんの完璧なコール&レスポンスに対し、「あいまいじゃないコーラスをどうもありがとう」と感謝の気持ちをのべ、新しい今日を歌った新曲「11dandy」では、「ダンディー・タカシ!」の声がとんだ。そのダンディーさを少し引きずった「音タイム」、天井から大きなOASISの電飾看板が降りてきて、シェイカー片手に踊りながら雄叫んだ「オアシス」に続き、みんなで「カタチ!」と叫んだ「か! た!! ち!!!」は、永遠に続きそうなファンクセッションを経て、真夏のパーティーの様相を見せた。  最後は、改めて場内が暗くなり、聴こえるか聴こえないかくらいの小さな声で、そおっと「ちきしょー」を歌い出した。独白のようなつぶやきから、<♪いつだって 揺れるままに 歌いたいんだ>というフレーズで強さを取り戻し、バンド演奏と照明が入り、<♪ちきしょう>という言葉に向かって、音、光、感情が最大限まで高められていった。

派手なブルーのシャツに着替えて登場したアンコールではエレキギターで「天国さん」を弾き語り、客電がついたままで歌った「明日天気になれ」では、この日いちばんのクラップとコール&レスポンスもおきた。ハナレグミ史上初のホーンも全編参加した踊れるステージングとなったTOURオアシスは、誰もが最後はいい笑顔でハッピーな気持ちになり、まさにそこにはオアシスがあった。