
すっかり夜になって会場じゅうの期待と興奮が最大級に高まったところで、大トリのスーパーバタードッグの登場! 注目の1曲目が「マッケンLO」て! バタードッグ史上でも1、2位を争う(?)ナンセンス、かつ黒さ満点のファンク・チューンを冒頭に持ってくるとは……ちっとも変わってない彼らのセンスとスタンスに、思わず頬がこぼれる。サイコー! 続いて披露されたのは、「まわれダイヤル」。この曲が収録されたアルバム『333号室』がリリースされたのは、1998年。今となっては、ダイヤルをまわす電話機なんてすっかり見かけないぐらいに時代はすすんでしまったが、この曲の持つメランコリックと、恋愛の機微みたいなものは、今もまったく色あせてない。続く「O.K」もせつなく青い心模様を歌ったナンバー。そんな2曲を立て続けに聴きながら、あらためてスーパーバタードッグというバンドのオリジナリティと、そして、この「ファンキー大百科」というイヴェントの持っていた意味に思いをめぐらせていた。
スーパーバタードッグの音楽性の核にあるのは「FUNK」という音楽からの影響であり、それは時にバンドの大きな持ち味となり、時にバンドの魅力を深く理解する上での足かせにもなってきた。彼らをファンク・バンドという物差しで計れば、あきらかに規格外の音楽的要素が随所に顔を出す。もっと言えば、とくに永積タカシの歌詞は、本場の、真っ黒なFUNKへのズル剥けた世界観とは一線を画した、“日本男子”ならではの奥床しさや繊細さ、やるせなさや気恥ずかしさみたいなものが織り交ぜられ、彼独自の表現として綴られていった。そんなせつなさに満ちた歌を、より表情豊かにバンド・サウンドとして表現しながら、ファンキーなグルーヴ感はしっかりと保ち──そういう絶妙なバランスで成立するオリジナルなFUNK観を、つねにスーパーバタードッグは追究してきたように思う。彼らのアルバム・タイトルに『grooblue』という造語があるが、まさにグルーヴとブルーな気分がない混ぜになった、日本人ならではのFUNK。そんな気分やスタンスを共感できるバンドやDJたちを集めて共演することで、スーパーバタードッグの音楽の本質を伝えようとしていたのが、「ファンキー大百科」という場所だったのだろう。と、野音でのスーパーバタードッグのライヴを見ながら、あらためて思い返していた。
だけど、そんなことはもう気にすることではないのかもしれない。メンバーが個々に展開する活動が、さまざまなカタチでクローズアップされ、多くの人がそれらを認識している現在、スーパーバタードッグの音楽は、より自由に響いているような気がする。野音で演奏された、彼らにとって久々の新曲となるフォーキーなナンバー「大安」を耳にして、これから彼らがどんな曲を送り出していったとしても、純粋に「スーパーバタードッグの音楽」として楽しめるんじゃないか? そんな期待も感じさせてくれた。


1 オープニング~マッケンLO
2 まわれダイヤル
3 O.K
4 大安(新曲)
5 コミュニケーション・ブレイクダンス
6 五十音
7 セ・ツ・ナ
6 日々GO GO
そして、ここからは一気にパーティー・モード! 「コミュニケーション・ブレイクダンス」「五十音」「セ・ツ・ナ」と、アルバム『FUNKASY』『grooblue』収録の2000年代ナンバーで、会場じゅうが一体となってヒート・アップ! ラストの「日々GO GO」が終わった後も、アンコールの渦は止まなかったが、会場の関係もあってここでお開きに。最後はメンバー全員で感謝の言葉を述べ、この春から自分たちで立ち上げた新事務所の意気込みなども示したりと、スーパーバタードッグにとっても、そして彼らと“ともにいこう”と誓ったファンキーな大家族たちにとっても、新たなスタートにふさわしい一夜となった。
テキスト:宮内健
写真:橋本塁

