だれそかれそ

ハナレグミの新しいアルバムのタイトルです。
だれそかれ 誰そ彼 たそかれ といって 『黄昏』のもとになった言葉です。
夜に向かうほんの数時間 西日をうけて向こうに 山田君らしき人がいます、
『あれ?あれって山田かな・・』『いや・違うかな・・』そんな絵が浮かびます
誰かな?彼かな? 誰そ彼 たそがれ
その言葉に 『そ』がはみだしています。『素』が

たそがれに 『そ・素』 をつなげて だれそかれそ

日が長くなって 影が長くなる頃よく自分に起きる あの突然の胸騒ぎ
誰かに逢いたくなるけど それが誰だかわからない
どこかに無性に帰りたくなっているのに、それがどこだかわからない、
そんな♡の無重力状態
僕はそんな時 足を止めてしばらく浸ってみたりします
一瞬の切なさが胸の隅々をパタパタとホコリを落として行くようで
くすぐったくなります。
ある意味 自分から出る声や言葉 メロディー全部のはじまり 産まれてくる場所は
そんな『だれそかれそ』な一瞬なのだと思います。

普段弾き語りのライブなどではよくやっている『カバー』
前々から周りの人には『やったらいいんじゃない』
と言われていたのだけど、LIVE でやる感じ その場でパラパラ選んで歌うぐらいの気軽さがちょうど良かったから
ずっとやらずにいたのですが、CMがきっかけで歌った『ウイスキーがお好きでしょ』の音が凄く気に入っていて
これをきっかけになら作ってみてもいいかも、と思い作る事になりました。
去年の夏頃からゆっくり曲を選びアレンジをして、半年ぐらいかけて作りました。
(今までで一番最長のレコーディング期間になってしまった あはは)

簡単な曲解説をどうぞ。

Hello my friend

ある日テレビをつけたら アイドルの女の子がこの歌を歌っていた。
そのまっすぐな声と、この曲のメロディー 詩がとても
切な気持ち良くてしばらく聞き惚れてしまった。
ユーミンさんの切ない歌の世界の上には、いつもでっかい大空があるように思う
切ないのにどうしてこんなに開放的な気持ちになるのだろう。
その理由が知りたくて、その気分を手に入れたくて
そのテレビの後、メロディーを何度も口ずさんだ

接吻

専門学校に通っている頃、よく聴いていた一曲
あの頃は曲のアレンジのカッコ良さばかりに気がいっていて 詩の世界まではわかってなかった。
『焼けるような戯れの後に 永遠に一人でいる事を知る・・』
ものすごいパンチラインです
いけない恋の歌なのだ。
でも歌になるとこんなにも きらめく世界に変えてしまうから歌って素敵だな
アレンジをしてくれたicchiさんyossyさん土生さん ミラクルの連続
次から次へアレンジが生まれてきてそのたびに 『ヤバい~カッコい~この夏ラジオヘビロテ決定じゃ~』
と夜中まで盛り上がりまくって作業したのでした

中央線

高校の頃友達が学校の廊下でよく歌っていた、
何度も聴いてるうちに僕も好きになって、コードと詩を教えてもらって練習した。
僕の住んでいた町を通っていた中央線
電話してたらどうしても逢いたくなって、慌てて自転車こぎだしたけど終電に間に合わなかった中央線
高円寺辺りから夕焼けに向かって飛んで行く中央線
冬に、遠くはなれた僕の布団の中にまで、カタコト聞こえた中央線
その音を聞きながら沢山の人の家路を想像して寝た
オレンジ色の大好きな中央線

いっそセレナーデ

中学の時実家のラジカセからよく流れていた曲
明らかに大人の夜の風景 色恋の世界の歌なのに、我が家は朝ごはんの時からかかっていた。
その当時たまに親戚らと行ったカラオケでこの曲を歌うと喜ばれたのだが、
カラオケの映像がちょっとエッチで困りながら歌ったのをおぼえている。
リズムボックスとワウオルガンが絡み合う感じ 最高~~!
この曲のもつ怪しい音のエキスは、レコーディングの合間の散歩中、
迷い込んだ飛田遊郭の風景によるところが大きいとか大きくないとか

空に星があるように

小学生の頃、夏の家族旅行の帰りにカーステレオからいつもかかっていた
『楽しい時間が終わっちゃう・・学校いきたくないなぁ・・』
と夢の終わりをずっしり感じながらこの曲を聴いていた。
おやじがぶっ飛ばす ハコスカ からぼんやり眺めていた夜の中央高速のオレンジ色のライトが、
今もこの曲を聴くと浮かぶ。
今回のアルバムの最初のレコーディング曲
土生 tico 剛さん 田村玄一さん 大野由美子さんのスティールパンのバンド
sunshine love steel orchestraの演奏にのって 歌とパンの せーの での一発どり。
ヘッドホンから舞い上がるパンの音に、鳥肌を立たせながら歌った

オリビアを聴きながら

弾き語りライブでも何度か歌っていた曲
歌いだすと、聞いてる皆もウズウズしてきているのが、僕の方からよく見える
だから『皆も歌うべ~~』つってあおって、大合唱になったりしていた
カバーはそれがまたいいなとおもう。
ならばアルバムはとことん皆で歌い上げたくなるイメージでいこうと思い
東京スカパラダイスオーケストラの皆さんにお願いしました。
原曲はしっとりだけど、スカパラアレンジはとことん 空へ歌いあげる 泣き笑いの世界 イェイ!!
五月にあった日比谷野外音楽堂でスカパラと一緒に演奏した時の映像もあります
そちらとあわせてどうぞ。
この映像でラストらへん『まぼろしを あいしたの~』のところでビール片手に熱唱する坊主頭の青年の表情がいい!
彼を見て『これだぜ!この瞬間のためだぜ!!』
と思った イェイ!!

プカプカ

専門学校の頃友達が教えてくれて、その頃弾きがたったりしていた曲
その事は最近まで忘れちゃっていたのだけど、今年に入って友達の家で久しぶりに聴いてぐっときたり
今回の選曲会議でも、土生さんが偶然選曲してきてくれたりして。
偶然に胸躍った一曲
あんこ とか あたい とか
普段使いなれていない言葉を 歌うって面白い
言い慣れてない感じがこの曲を、よりコミカルな雰囲気にしているのだと思う。
そこが気に入ってる一曲

いいじゃないの幸せならば

以前いた事務所の社長からもらった いずみたく作曲集にこの曲が入っていた
こういう暗くて寂しい歌謡曲が大好きだ
不思議と ホッとしてしまう。
世の中はどんどん新しく便利になっても 心は変わらないな
たまにはしっかり、なさけなく落ち込んだりしたいのだ
そして この曲で肩を抱かれた気持ちになるのだ。

ウィスキーが、お好きでしょ

この曲をCMでカバーしたところから 今回のカバーアルバム製作がはじまった 出会いに感謝!
『ハイボールをより若い世代にひろめたい』というオーダーのもとアレンジしました
どうなのかな?うまくいったのかな?
自分ではすごくいいテイクだと思ってる
力が抜けていて 飲みたくなるぜ。

ラブリー

居酒屋で奏でるラブリー!!
『居酒屋で奏でるラブリー』
そんなイメージが膨らんで離れなくなった 
長見順さん岡地曙裕さんしかいないと思った。
そこに大阪でライブを見て、目を奪われたバリトンサックスの浦朋恵さんを誘って吹いてもらいました。
渋谷のラブリーに刺激された頃から時がたち おしゃれの感じも変わって 色んな事がおきて たどりついたり 流されたり
そしてみんな いぶりがっこみたいに、色が味がにじみ出てきた人達が奏でるラブリーって 最高にラブリーだと思わない?

エイリアンズ

この曲にはまって毎日聴いていた時期があった
歌詞に出てくる町は、僕の住んでいる町の事を歌っているんじゃないかと思うぐらい景色が一緒だった。
バイパスの澄んだ空気 公団 スポーツカー うっかりいらん事をいってしまったために、眉をひそめる彼女
そのどれもが僕の知っているものを言ってるような気がして胸にクーン響いた
泰行君の歌声には妄想をかき立てる力があると思う。
エフェクターをかけて弾きがたったこの曲は
今回のアルバム制作の最後にレコーディングした曲
最後にビックプレゼントをもらったような 最高の演奏がとれた
嬉しくて何度も繰り返し聴いた
脳が揺れた
やばいずぅぇぇえ

多摩蘭坂

東京の国立という街にある多摩蘭坂
その坂の途中に住んでいた忌野清志郎さんが作った曲
今回カバーアルバムを作る事になって真っ先に浮かんだ曲。
この曲を国立にゆかりのあるミュージシャンの人達と演奏したい だった。
そして演奏してもらった 土生 さん  ピアニカ前田さん 宮野佑司さん
4人が奏でた音はどこか ぽつねん としていて あたたかい 音なんだ
僕の思う国立の景色 流れる空気感 時間 の音そのものだと思った

西日の魔法にやられて遠くの事を思いたくなってしまう
国立にはそんな時間が流れているんじゃないかな。
きっと清志郎さんも国立の魔法にかかってあの曲を書いたんだ
それで月に笑顔を重ねたんだよ きっと

ジャケットについて

今回アルバムのジャケットを描いてくれたアミーゴさんは
僕がまだバンド(SUPER BUTTER DOG)だけやっていた頃に
クラブのイベントに誘ってくれて、DJの合間に弾き語りをさせてくれた人だ。
さっきまで踊りまくっていた子達が、
僕の急な弾き語りに しん とした音に(井上陽水さんの白い一日とか銀河鉄道999のエンディング
you got a friend を歌った記憶が・・選曲 おもしろいな~)
静かに耳を立ててくれて
感じてくれる事に驚いたし うれしかった
あたらしいふるいかっこいい じゃなくて
うたいたい
それだけでも いいんだぜ
つたわるんだぜ って知った

アミーゴさんが描いた町は
きっとどこにでもある いつもなんでもなくすぎて行く時間の景色だな
だから 日をあびて町が金色に輝く時 目を細めた時 ふっと いつもと違って見えて
ぐっときたりするんだ

『だれそかれそ』
できあがりました
そこんとこ よろしく。

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